「生き物の死にざま」、、、今、売れている本です。
(稲垣栄洋著;草思社)
死に望む生き物の、29の話をつづっています。
広く読まれているのは、科学的な解説にとどまらず、生き物のありようを自分のことのように感じさせてくれるからとのこと。
「死にざまの多くは、子孫を残すための生きざまでもある」
例えばハサミムシ。
母親は産んだ卵を守り続ける。
隠れている石をひっくり返すと、ハサミを振り上げて人間を威嚇することもある。
そして、卵を守りぬいたは母親を、孵化したばかりの幼虫たちが「貪り食う」
獲物を得られない幼虫が飢えないために、自分の体を差し出す壮絶な子育て。
「遠ざかる意識の中で、彼女は何を思うのだろう。どんな思いで命を終えようとしているのだろうか」、、、とは推薦者の言葉。考えさせられます。
あるいは、ふるさとへの苦難の旅を終えたサケ。
卵を産んだ場所には、不思議とプランクトンが豊富に湧き上がると言う。
サケの死骸が分解されてプランクトンの餌になるらしい。
「親たちが子供たちに最後に残した贈り物」
何ともムダのない営み、、、
親が子供を産み、育て、子孫を残していく、、、人間だろうと、虫だろうと、魚だろうと変わらない、親としての使命感を持っているのですね。
いえ、もしかしたら人間以上に崇高な使命感を持っているのかも?
生き物が教えてくれる死にざまの壮絶さに、しばし、考えさせられたことでした。
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