昨日に続いて映画の話です
山田洋次さんは「男はつらいよ」シリーズで有名な監督さん。
そして宇野重吉さんと言えば、劇団民藝の創設者でもある俳優さん。もう亡くなっていますが、すごい役者さんでした。
ある時、日本映画の売り上げが落ち、テレビに人気をとられてしまった頃、山田さんが宇野さんに思わずグチをこぼしたことがあったといいます。もうずいぶん前のことですね。
黙って話を聞いていた宇野さんは、こんな話を始めたそうです。
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真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まる1941年の10月、僕は本気で死のうと思うほど絶望していたんです。
「兵隊になるぐらいなら自殺した方がマシだ」と本気で思い、死ぬために荷物を整理して渋谷の街に出たら、映画館で米国映画をやっていた。その映画は「スミス都へ行く」…アメリカ民主主義の精神をうたい上げたフランク・キャプラ監督の名作。
映画を見終わると変な勇気がわいてきた。今、死ぬことはない、この世の中は生きるに足る。なんとかなるさと思えてきて死ぬのをやめましたよ。
映画という芸術は、それがアメリカ人の手で作られたものであっても、遠く海を隔てた一人のアジアの若者を絶望から救うどころか、命をつなぎとめるだけの力を持っているんですよ。だから山田さん、あなたは映画を作ることに絶望してはいけません。一生懸命作ってくださいよ。
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「僕は宇野さんのその言葉を一生忘れまいと思った」と語る山田洋次さん。
その後の山田洋次さんは、名作を作り続けておられます。
宇野重吉さんの言葉には、本気の重みがあったのでしょうね。
誰かの言葉が誰かの人生を変える…いい話だな〜と、心に残りました。
⭐️8月最初の週末、日本列島の暑さは半端じゃないですね。熱中症には気をつけましょう。また月曜日に。
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