ある日の新聞の投稿があんまりステキだったので、お裾分けしようと思います。71歳の女性の投稿です。(やっぱり同い年。どうしても目が行きます。笑)
その方は、テレビでひざ枕のシーンを見て、2ヶ月ほど前に亡くなられたご主人のことを思い出されたようです。
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当時の夫は、何も口にできず点滴で命をつないでいた。本人の希望で、娘の車で外出した。行き先は、病に倒れる寸前まで通った会社だった。40数年間、電話工事の仕事をしてきた。急に職場に行けなくなり、心残りだったのだろう。
後ろの座席に夫と私が座った。最初はちゃんと座っていたが、だんだん姿勢が斜めになり、私にもたれかかってきた。そして静かに私のひざの上に頭を置いた。
「肥後もっこす」でシャイで、決してそういう態度はみせない人だった。結婚して40年、初めてひざ枕をしてあげた。目を閉じて横たわる夫の姿を見つめた。夫の顔に私の涙が落ちないように気をつけながら。
会社に近づくと、「ここよね、着いたよ!」と娘が言った。夫はそっと顔を上げ、社屋をながめた。
何分ぐらいその場にいただろうか、夫が「もういいよ、ありがとう」と言った。夫はまた私のひざの上に頭を置いた。帰り道は、満足そうな寝顔だった。
最初で最後のひざ枕を私に残して、夫は逝った。
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長い生活の中で、決して奥様に甘えることのなかったご主人。ひとりで座っていることもできないほど弱られたご主人。最後に職場を目に止めたいと願われた、その気持ちを、優しく受け止めておられる奥様。
結婚生活16年で離婚した私の人生には無い、長年連れ添ったご夫婦ならではのエピソードに、何とも言えない感動を覚えました。
最初で最後のひざ枕・・・いろんなこと乗り越えて共にに生きてこられた方にとって、忘れられない思い出でしょうね〜。
良い事も悪い事も、人生のいろいろな曲面を長く一緒に歩んでいく‥‥改めて“夫婦である“ということの深さを思いました。
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