日本サッカー協会のキッズプロジェクトリーダーの皆川新一さんが、ある強烈な体験を語っています。
皆川さんは、20代半ばから、家業のかたわら外部指導員として甲府北中サッカー部の監督をしていた。
それは今から30年ほど前のある春の日のこと。
練習試合の大敗にか〜っと頭に血がのぼり、部員たちに命じた。
「ダッシュ50本だ!」
だが、一人だけその場を動こうとしない少年がいた。
「何で走らないんだ!」と声を荒らげると、落ち着き払った口調で言葉が返ってきた。
「負けた罰として走るのであれば、負けた原因は監督にもある。皆川さんも一緒に走ってください」と。
感情のままにしごきを科す、自分の愚かさを的確に突かれ、顔が真っ赤に染まった。
返す言葉もなく、皆川さんは一緒に走った。汗だくになり、膝をガクガクさせながら。
(中学生の言葉にハッとして、即、一緒に走られた皆川さん、すごいですね〜)
この中学生はその後、日本代表のエースとなり、世界に飛び出す。「一緒に走ってください」と言ったのは、中田英寿さんだった。
(へぇ〜中田英寿さん、中学生の頃からさすがですね〜)
すごいのは、その後の皆川さんの行動。
「根本的にサッカーを学び直さないとダメだと実感した」と、ドイツにサッカー留学。3年間、強豪クラブで指導法を学び帰国、その後は意欲的に選手の育成に携わっている。
「オレは恩師なんかじゃない。教えられたことばかり」
「昔のオレに怒鳴りつけられて、潰された才能がいくつもあったかもしれないと考えるとゾッとする」
そんな反省があるから、還暦を越えた今も、指導者として成長したいという気持ちは萎えないのだとか。
「還暦を越えても成長したい!」素晴らしいですね〜
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