新型コロナウイルス感染症によって、今年4月に亡くなられた横野浩一さん。当時72歳。
北播磨総合医療センターの病院長だった人。
妻の典子さんと長女の伏谷由佳さんは、いわゆる「風評被害」に苦しまれた。
長女「70代医師と匿名で報道されたが、父だと推測できたので、知らない人からや無言の電話が鳴り続けた。実際は車なのに、電車で病院へ行ったとされ、インターネット上では、ウイルスをばらまく殺人鬼などと書き込まれた。風俗やパチンコでもらったと言う人もいた。院長が病院にウイルスを持ち込んで業務を停止させるなんてお粗末とも言われた」
何と言うことでしょう!大事な方を亡くされただけでも辛いのに。まさに「言葉は刃物」ですね。
長女「3月9日に入院し、翌日、急に容体が悪化して人工呼吸器をつけた。鎮静剤を入れるので意識がなくなる。万一を考えてラインで『大好きだよ、ありがとう』と伝えた。父も『心から愛しています。ほんとうに幸せだよ』と書いてくれた。まさか亡くなるとは思っていなかった」
妻「私も、しばらく入院して帰ってくるとのんきに考えていた。主治医から話しますかと言われ、夫が『念のためありがとうな』と言ったので、私も『念のためありがとうね』と。それが最後の言葉になった」
「念のためにありがとう」・・・それが最後の言葉になったなんて。
思ってもみなかった、大切な人とのお別れ。どんな思いだったことでしょう!
そこに追い討ちをかけるような無責任な言葉。どうしてそんなことが言えるのか!
そんな辛い体験を通して、長女の由佳さんはこんなことを・・・
「特に高齢の方は亡くなるリスクを考えて行動してほしい。若い方も緩まず感染対策を。いつ、こういう立場になるか分からない。私たちのような思いをしてほしくない」
人を恨むよりも、「こんな思いをしてほしくない」という、人としての優しさにあふれた言葉にジ〜ンときました。
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