NHKの「映像の世紀」・・・たまたま夜中にテレビをつけたらモハメド・アリのことをやっていて、目が離せなくなりました。
1954年、12歳だったモハメド・アリが愛用の自転車を盗まれたことがすべての始まりだった。
「タダじゃおかない!」「ぶちのめしてやる!」と泣き叫び、怒りに燃えた少年が、のちの天才ボクサー、モハメド・アリ。
彼にボクシングに誘ったのは、その時ジムのトレーナーもしていた警官だったとか。アリ(その頃はカシアス・クレイ)の怒りの迫力に、特別のパワーを感じたのでしょうね。
ボクサーを志した彼は、メキメキと頭角を表して、無敵のチャンピオンとなる。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」は有名な言葉ですね。
そして、その言動は、世界を大きく揺さぶった。勇気を持って徴兵を拒否し、ベトナム反戦運動の立役者となる。
彼の影響を受けたトミー・スミスとジョン・カーロスは、メキシコオリンピックの表彰台で黒いグローブを突き上げ、体を張って抗議した。当時はオリンピックを政治的に利用することは許されていなかった。銃で射殺されるかもしれないと覚悟しながら、こぶしを突き上げたのだという。
「ブラックパワーサリュート」と呼ばれる行動に、世間の反応は冷たく、カーロスの妻は自殺したほどだった。
その時、メキシコオリンピックの表彰台に上がったもうひとりの選手が、オーストラリアのピーター・ノーマン。彼もオーストラリアでアボリジニに対する差別に抗議する考えで、スミスとカーロスに賛同したのだ。
そのことを咎められ、その後オリンピックに出ることは許されず、その後も辛い待遇に会ったピーター・ノーマン。スミスとカーロスは、彼のの葬儀に参列し、棺をかついだ 。国境を越えた真の友人として。
それらのことをテレビを見ていたハワイの少年が、後のオバマ大統領。史上初の黒人大統領誕生へとつながったのは、アリの言動があったから。オバマ大統領の執務室にはアリの写真が飾られていたといいいます。
「差別される」という体験がどんなに辛いものか、そして信念を曲げずに抗議することがどれほど勇気の要ることか!
モハメド・アリ、トミー・スミスとジョン・カーロス、オバマ大統領・・・世界を敵に回しても信念を貫いたアリの勇気が連鎖して、世界を変えたのですね。
晩年はパーキンソン病に悩まされたモハメド・アリの姿も目に焼き付いています。すごい生涯でしたね〜。
私の記憶の中に「差別された」という体験はありません。それがどれほど辛いものなのか、正直いってよく分からないのです。
「想像力のない奴に、翼は持てない」・・・アリの名言が心に沁みます。
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