ある新聞の切り抜きがここにあります。
それは横綱白鵬関と、床山(マゲを結う人)の床峰さん(本名は加藤章さん)のお話。
このほど引退した白鵬関にとって、床峰さんは本音を話せる数少ない人。
そして床峰さんはと言えば、番付社会にいながら上にこびるのが大嫌いで、中学の1年先輩の北の湖にさえ、何でも言えた人。白鵬関のことは、大関になるまで「白鵬」と呼び捨てだった。その辺が、逆に良かったのかも知れませんね。
床峰さんは、もともと白鵬関のことが好きじゃなかったらしい。
しかし、どんどん地位を上げていく白鵬を放っておけない気持ちもあった。横綱に対し、周囲はものを言いづらくなり、知らず知らずのうちに孤独になっていく・・・
白鵬に反論できる人が減っていく中で、床峰さんは、白鵬を「裸の王様」にしないように、角界での立ち居振る舞いを何度も説いた。特に立場が下の者への気遣いを。
なるほど。立場の上下で態度を変えるなどということでは、横綱の品格にかかわりますよね〜
白鵬は、自分を支えてくれる付き人衆に渡す謝礼を、休場した場所では出していなかった。
「横綱ね、休場しても若い衆は毎日世話してくれるでしょ?だったら、出してあげなよ。どんなに強くても、今までで一番しょっぱい横綱になっちゃうよ」・・・白鵬はうなずいた。
白鵬関は、床峰さんに一目置いていたのですね〜 素直にうなずく白鵬関も、いいな〜
東京都内のホテルで開かれた、床峰さんの退職パーティは、白鵬が主催した。
床山をやめが床峰さんは、昨年、大きな病気を患った。数ヶ月間の入院生活を終えた日、家にいると携帯電話が鳴った。
「何もしていないから病気するんだよ。たまには来れば?どうせ暇でしょ?」・・・白鵬だった。素直でない言い回しだが、本当は自分の体を心配してくれているのだろう。言葉の裏まで床峰さんには分かる。
「別に今でも好きじゃないけどさ。でも、いい横綱になったよ」
・・・何とも微笑ましい、ステキな人間関係じゃないですか!
私の仕事で、日頃お付き合いすることが多いのが「美容師さん」。
美容院とか床屋さんとか、行くお店って決まっていませんか? それも、一度決めたら長い間通いますよね。
髪の毛に触れてもらいながら、話を聞いてもらう・・・これって、自然と信頼関係が増していく関係になるのですね。
「触れること」「話を聞いてもらうこと」・・・人との信頼関係の原点ですね。
AIが発達しても無くならない仕事の一つが「美容師」と言われる所以が、そこにあるのだな〜と、改めて思いました。
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